医療費削減施策による薬剤師のあり方

高齢化社会による変化

日本は今後確実に高齢化社会になり、65歳以上の老人の割合が20%を超えていきます。
それに伴い、病院の需要は増えていきますが、対応するだけの病院があるのかどうかという不安がつきます。
また病院を利用する高齢者が増えれば、それだけ医療費も増えますので、その増えた医療費をどう補うかも課題となっています。
この現状をふまえて、国では医療費削減を積極的に行っています。

医療費を削減するためには、病院を使わないようにすればよいですが、現実問題としてはそのようにはいきません。
そこで医療費削減の具体案としては、
・特許が切れた薬は、ジェネリック医薬品を使うようにする
・病院に入院せずに在宅医療へシフトさせる
・予防医療を行っていく
ということが挙げられます。

このような具体案の中で、特に薬剤師として関わってくることは、ジェネリック医薬品の提供と在宅医療での関わりです。
今までは薬剤師なら調剤薬局で調薬をすることがメインとなっていましたが、これからは在宅医療へも密接に関わるようになります。

在宅医療での薬剤師の役割

在宅医療では薬剤師は、患者さんの家に医薬品を届けるということがあります。
自ら医薬品をもって患者さんの家へ伺うのです。
さらには、同時に患者さんに医薬品を渡すときに服薬指導も行って、どのように薬を使うか説明することも大切です。
言い換えればいままで調剤薬局内で行っていたことを、今度は患者さん宅で行うのです。

また、患者さんの病状を確認するというのも薬剤師の役割となり、食事の指導や体調チェックなども医薬品を届けるときに行います。

ただし在宅医療に薬剤師が対応するには課題もあります。
まず在宅医療を行うことに薬剤師が慣れていないことです。
在宅での業務を把握していなかったり、経験不足などによって、ベテラン薬剤師と一緒に患者さん宅へ向かい研修を行うこともあります。
まだ在宅医療に対応できる薬剤師は少ないです。

患者はいつ薬を必要とするかも時間が定まっていません。
このために在宅医療に関わる薬剤師は24時間対応できるようにするのが理想的です。
しかしこの24時間態勢というのは、現在の調剤薬局との営業形態と大きく異なります。
どのように対応させていくかが問題です。
もしも24時間対応させるなら、多くの薬剤師が必要となります。
薬もどの薬が必要か患者によって種類は違うために、多くの薬を取揃えておかなければいけません。
薬を常に用意するにはコストもかかります。

これからは薬剤師は調薬や服薬指導だけに留まらず、さらに広い範囲の業務もこなさないといけません。
また、その業務に対応するためにこれまで以上の専門知識も要求され大変になるのは確実です。