医薬分業とは

医薬分業について

医薬分業は、医師が診察や治療を行い処方箋を出し、処方は薬剤師が行うという役割を分担することであり、それぞれの専門を活かして医療の質の向上を図るものです。
すでに日本でも一般的な制度として浸透しており、皮膚科でも歯医者でも内科でも、どこでも診療は医師が、調剤などは薬剤師が行っています。

医薬分業は、ヨーロッパで始まり、医師によって毒殺されることを恐れていた国王などが、これを防ぐ手段として薬を管理する者を医師とは別に薬剤師という形で設けたのが始まりです。
医師と薬剤師を分けることにより、不適切な薬の排除、過剰処方抑制、二重チェック体勢の導入など、医療の質を上げる仕組みが続々と確立されます。
薬剤師は独占的に医薬品を販売できるようになり、その代わりに国民への責任を負うこととなります。

また薬剤師として、専門的な知識をもった人物が調剤や処方することにより、薬を専門的に管理する、過剰投与などを防止、偽薬の排除、適正な価格の維持なども行われました。
専門知識を活かして、よりよい薬の開発も行っていきます。

メリットとデメリット

まず医薬分業によるメリットは以下のようなものがあります。

・医師は薬の処方や調剤のことは考えずに済み、治療に専念できる。
・薬剤師が医師からの処方箋を確認することで、投薬ミスを防止でき、二重にチェックしより厳重に薬を管理できる。
・薬剤師は患者に服薬指導など、薬関係のことに専念できる。
・薬剤師が医師とは別に調剤するので、患者が薬を受け取るまでの時間を短縮できる。
・処方と調剤の責任が明確になる。

といったようなメリットがあります。
反対にデメリットとしては以下のようなものがあります。

・患者は病院と薬局の2カ所を周り余計に手間がかかる。
・処方箋料金や調剤基本料金など余計なお金がかかる。

このようなデメリットがあり、デメリットは患者が受ける場合が多いです。
ただデメリットを考える場合は、患者の立場の他に医療機関や医師の立場、薬局や薬剤師の立場、保険制度の立場とそれぞれを考えなければならず、必ずしもデメリットを改善すれば、医療が良くなるかはわかりません。

問題点もいくつかあります。

・薬剤師の専門性
日本では薬剤師の専門性のレベルが、十分でない場合もあり、高度な専門性を備える必要があります。
その一環として薬学部の課程が6年制となりました。

・医療費の高騰
必要以上に処方され、薬漬けになるような患者もあり、年々医療費も増加しており、その高騰が問題視されています。
特にこれからの時代は、高齢化社会によってますます医療を必要としている人が増え、またジェネリック医薬品への変更なども推奨されており、今後も医療費への対策が求められます。