有意差の見方と効果量

その治療に効果があるかどうか

薬剤師として薬を扱うと、その薬に対して有意差有り無しという言葉を聞くことが多くなります。
有意差があればその治療には効果があり、有意差がなければその治療には効果が無いと漠然的に思うかもしれませんが、それでは薬剤師としては失格です。
有意差が有る無しだけを見るのではなく、有意差があってどれぐらなのか、無い場合はどのような傾向になっているのかというのを考えていかなければいけません。

どの薬にも効果がある無い、使用量を多く少なく出来る、短くできるなどの効果的な手段がいくつかあります。
その患者に1度使用して効果があったとすると、それは効果的な薬でしょうか?
もしも2回目に使用して効果がなければ、本当に効果があるのかどうかわかりません。
さらに3回目に使用したらどうなるでしょうか?

このようにその薬が本当に効果があるというのはどのような場合でしょうか?
統計的にはこれは5回連続使用して効果が続けば効果的と言われています。
効果がある無いの割合は50%なので、これを0.5としましょう。
5回連続とは、0.5×0.5×0.5×0.5×0.5=0.03125という数値になります。
4回連続では0.0625という数値になるので、
一般的に有意差があるというのは0.05より低い数値になったときにあると言われます。
これは有意差P値=0.05として薬剤師の現場では使われます。

有意差があるとはどんなことか

有意差があるかどうかは2つの物事を比べて行われます。
たとえばプラセボ効果と実際の薬を比べて、有意差があれば薬として認められます。
また有意差があれば、その薬は効果があると言えます。

これは偶然や他の要因などの可能性を排除してその差には意味があるということになります。
数値の大小やグラフの見た目は関係なく、全ては有意差があるかどうかになります。
たとえば2人の患者に高血圧に対する薬を使ったとしましょう。
AとBという人物がいて、二人に使う薬の種類はそれぞれ違います。
Aという人物では血圧を10mmHg低下させることが出来、これが有意差があると証明されました。
Bという人物では血圧を40mmHg低下させることが出来、これは有意差であると証明されませんでした。
このような結果が出たなら、薬として認められるのはAに使った薬のみです。
たとえBはAよりも多く血圧を低下させたのですが、これは偶然であるということになるのです。

有意差を見るときにはこのように数値やグラフの大小のみに捕らわれるのではなく、データを検証して本当に効果があるのかどうかみないといけません。
たとえ効果的な数値が出たとしても、その薬が偶然その人に効果的に効いたという場合も考えられるのです。