院外処方、疑義照会の一部不要で本来の薬学的介入に注力を

日立製作所ひたちなか総合病院での取り組み

誰でも病院へ行くことはあるでしょう。
事前に予約して行くこともありますし、大手総合病院になると事前予約無しで来院することも出来ます。
しかし大きな病院になればなるほど、その待合室での来院者数は多くなり、病院へ到着してから、診察を受けるまでに2時間や3時間かかるということもあります。
またその後薬をもらうにもさらに時間がかかり、病院へ行くのは丸一日費やすという方も多いでしょう。

そのような中で、日立製作所ひたちなか総合病院では、事前に取り決めてある7項目の院外処方の疑義照会を不要とする運用を開始しています。
これに伴い、情報連携システムを作り、検査値などの数値を薬局に開示します。
このシステムを導入し、照会を簡略化したことによって、効率化が図れ、数値を開示することで薬局として十分に機能を発揮できるようにもなりました。

もともとは、形式的な照会も、本当に患者にとって必要とされている照会も、区別無く行っていることに、日立製作所ひたちなか総合病院の医院長が疑問に思ったことから始まりました。
不要な照会も形式的に行っているために、余計な作業が生まれ、それによって効率も下がり、患者にとってもマイナスであり、もちろん病院としての現場でもマイナスになっていたのです。

効率的な運用

このシステムを作る一環として、ひたちなか健康ITネットワークという情報連携システムも完成させています。
これは、薬局と連携し、ネットワークでカルテに記録された医薬品の処方内容や、検査記録を閲覧できるようにしたのです。
これによって、薬剤の効果や副作用の有無など、その患者の処方後の様子を見ることが出来、患者と一体になった薬局の役割が果たせるのです。
このようなことがデータ化されているので、処方した薬剤師でなく、別の薬剤師でも患者に対して同じように接していくことも出来ます。

このネットワークには、2015年の4月時点で47薬局が参加しています。
ひたちなか総合病院に隣接している薬局は全て参加しており、ひたちなか市内の薬局では80%が参加しています。
また情報を共有化する場合は、患者の同意も必要となりますが、共有化に同意した患者は1300人を超えています。
また、薬局の薬剤師がこのネットワークの情報にアクセスする右肩上がりで増えており、良い方向へ変化しています。

現在はまだこのシステムは出来たばかりであり、発展途上のもので、今後も同院としては協議し改良を続けていく意向です。
さらにネットワークの拡大を行い、入院中の患者への薬剤師の対応方法や、退院時に関してなども情報化し開示できるようにし、地域連携をさらに進めていく予定にもなっています。