抗体医薬品ってなに?

抗体医薬品について

人間の体は、体内に病原菌などの異物つまりは抗原が入ってくると、それと結合する抗体を作り抗原を無毒化します。
これは人間に備わっている免疫機能であり、赤血球や白血球がその役割を担います。
その抗体を利用して作られた医薬品が抗体医薬品です。

目標となる抗原をピンポイントで狙い打ちするために、高い治療効果が期待できます。
抗体は特定の抗原のみに作用するので、抗体医薬品も特定の抗原にのみ作用し、他の組織や細胞には作用せず、そのために副作用も少ないのです。
そしてアルツハイマー病など有効な治療薬がない病気の治療に大いに期待されています。

アメリカでは乳がんの抗体医薬品のトラスツズマブが1998年に認可され、これは癌をピンポイントで攻撃します。
トラスツズマブと結合したがん細胞は無毒化し、さらに人の免疫システムによりがん細胞の働きが止まります。
日本では2008年にリウマチの抗体医薬品が承認され、リウマチは体内に入った異物を排除するシステムが、正常な細胞に対しても反応するために引き起こり、免疫異常を引き起こす物質に作用し治療します。

今後も抗体医薬品はどんどん開発されていき、癌などの従来の治療薬では治療が困難であった病気に有効な効果を発揮するでしょう。
ただし最新のバイオ技術を用いて薬は作られるため、特殊で大規模な設備が必要となることから現在は世界的に製造設備が不足しています。

最新のバイオ技術を使用して製造されますが、それは近年ゲノム解析が進んできたことにより、抗原に対してどのような抗体が作用するのかということが解明されてきており、それにより続々と新しい抗体医薬品が出来てきています。

製造での問題点

抗体医薬品は、分子量が大きく、特定の抗原にのみ作用します。
分子量が大きいと言うことはそれだけ複雑な作りであるということです。
そして分子量が大きいために、体内に入ると異物とみなされる可能性もあります。
現段階では製造過程は複雑であり、大規模な設備を必要とします。
それ故に、ほんの少しの製造過程のミスが出たとしても、本来の抗体医薬品とは違った物が出来てしまいます。

製造のミスを無くすためには、設備から安全管理まで多くの決まりを作らなければなりません。
それをクリアすると、設備が大規模になるので、どうしても資金力のあるメーカーでないと参入できない状況です。
現状では参入への壁が高いために、ライバルが少なく、例え製造した抗体医薬品の特許が切れたとしても、ジェネリック医薬品として製造される可能性は低いです。
このために、特許が切れた後に売り上げが下がる心配がないために、どんどん新規メーカーが参入してきています。